
Q1:契約書は、どんな場合でも必ず作った方が良いのでしょうか?
A:「お金が動く」「継続的な取引になる」「トラブル時に言った・言わないが起きそう」 な場合は、原則として書面(または電子契約)で契約内容を残すことをお勧めします。
口頭でも契約は成立しますが、あとから内容を証明できず、紛争になったときに非常に不利です。
金額の大小にかかわらず、
- 取引の目的・範囲
- 対価・支払条件
- 期間・更新・解除条件
- 守秘義務・損害賠償の考え方
だけは最低限、書面で合意しておきましょう。
補足
テンプレートをそのまま流用すると、自社の業態に合わない条項が混ざることがあります。重要な取引や長期契約の場合は、専門家によるチェックを受けると安心です。
Q2:「契約書」と「誓約書」「覚書」は何が違うのですか?
A:いずれも法的な効力を持ち得ますが、使い方と重みが少し異なります。
- 契約書:当事者双方の権利義務を総合的に定めるメイン文書
- 誓約書:従業員や取引先に対し、「◯◯しない/◯◯を守る」と一方的に約束させる文書
- 覚書:既存の契約を補足したり、部分的な取り決めを確認する文書
例えば、従業員の守秘義務や競業避止義務は、就業規則だけでなく個別の誓約書として署名させておくと、後のトラブル時に証拠として非常に有効です。
Q3:建設業の許可を取った後、どのような継続管理が必要ですか?
A:建設業許可は「取りっぱなし」で放置すると、更新忘れや要件充足の欠落により、気づかないうちに「無許可営業」と評価されるおそれがあります。
最低限、次のポイントを整理して管理することが重要です。
- 許可の有効期限(通常5年)と、更新申請の期限管理
- 経営業務の管理責任者・専任技術者が要件を満たし続けているか
- 決算変更届や事業年度終了報告など、各種届出の漏れがないか
- 許可業種ごとの請負金額・工事内容が、許可範囲を超えていないか
建設工事は、無許可で一定規模を超える工事を反復継続して受注すると、行政処分や刑事罰の対象となるケースがあります。社内で「建設業許可管理台帳」を作り、年1回は専門家と一緒に棚卸しすることをお勧めします。
Q4:従業員の不祥事やSNS炎上が発生したとき、会社として最初にすべきことは何ですか?
A:事実関係の把握と、証拠の確保を最優先にしてください。
- 社内の聞き取り・ログの確認・SNSの投稿内容の保存
- 私的な投稿か業務に関連するものかを整理
- 会社として公式コメントを出す必要があるか検討
- 就業規則や誓約書に違反しているかの確認
感情的に即座に謝罪や処分を行うと、後から事実と合わなくなり、かえって責任が重くなることがあります。元警察官の経験上、初動で事実を丁寧に押さえたケースほど、被害拡大を防げています。
重大な案件では、弁護士を含めた外部専門家と連携しながら対応方針を決めましょう。
Q5:従業員の私的なSNS投稿まで、会社はどこまで規制して良いのでしょうか?
A:社員の表現の自由も尊重する必要がありますが、
- 会社の機密情報の漏えい
- 顧客・取引先の名誉を傷つける投稿
- 社名や制服を使った不適切な投稿
などは、業務上の義務違反として問題になります。
就業規則やSNSポリシーで、
- 業務上知り得た情報を投稿しないこと
- 会社や顧客を特定できる形で中傷しないこと
- 社名・ロゴ・制服を使う場合のルール
をあらかじめ定めておき、入社時・研修時に説明しておくと良いでしょう。
処分の要否や内容は、投稿の悪質性・影響の大きさ・本人の反省状況などを総合的に判断する必要があります。
Q6:取引先から「ひな形があるので、そのまま契約してほしい」と言われました。応じても大丈夫ですか?
A:相手方作成のひな形は、原則として相手に有利な内容になっています。金額が小さくても、そのままサインするのは避けた方が安全です。
特に、次のような条項は注意が必要です。
- 損害賠償の範囲が一方的に重い(上限がない 等)
- 一方的な解除・変更権が認められている
- 知的財産権や成果物の帰属がすべて相手になっている
- 準拠法・管轄裁判所が遠方になっている
まずは自社側でチェックリストを作り、重要な条項だけでも確認しましょう。内容に不安がある場合は、行政書士・弁護士など専門家に相談してください。
Q7:社内の「決裁権限規程」は、なぜそんなに重要なのですか?
A:決裁権限規程は、「誰が、いくらまで、どの種類の契約を締結できるか」を明確にする社内ルールです。
これが曖昧だと、
- 権限を超えた契約を結ばれてしまう
- 不正な支出・架空取引が発見しにくい
- トラブル時に「誰が責任者なのか」が分からない
といった問題が生じます。
金額・取引種別・部門ごとに決裁レベルを定め、契約書・見積書・稟議書の流れを一本化しておくと、内部統制とコンプライアンスの両面で効果があります。
Q8:従業員の横領や情報漏えいを防ぐために、最低限やっておくべき内部統制は?
A:完璧な予防は難しいですが、「一人に任せきりにしない仕組み」が基本です。
例としては、
- 現金・預金の出納と帳簿記帳を別担当に分ける
- 請求書発行・入金確認・督促を分業する
- 重要データへのアクセス権限を最小限に限定し、ログを残す
- 定期的な棚卸し・内部監査を行う
元警察幹部(警察官)としての経験上、不正が発生した現場の多くは、「長年一人に任せきり」「チェックする人がいない」という共通点があります。小さな会社ほど、最低限の分業と見える化が重要です。
Q9:許認可が必要な業種かどうか、どのように判断すれば良いですか?
A:日本には、建設業・古物商・飲食店・風俗営業・運送業など、多くの「許認可ビジネス」があります。
判断に迷ったら、次の3点を意識してください。
- 「人の生命・身体・財産」に直接影響するサービスか
- 現金・貴重品・個人情報などを預かる業務か
- 24時間営業や深夜営業、風俗性のあるサービスか
いずれかに当てはまる場合、何らかの許認可・届出が必要なことが多いです。開業前に、自治体・監督官庁の窓口や専門家に相談し、無許可営業にならないよう確認しましょう。
Q10:社内でトラブルが起きたとき、どこまで行政書士に相談できて、どこから先は弁護士に頼むべきですか?
A:行政書士は、許認可・契約書・社内規程など、「ルールづくり」と「書類作成」 を得意とする専門家です。一方、
- すでに紛争になっている案件の代理交渉
- 訴訟や調停の代理
- 相手方との和解交渉の一任
といった業務は、弁護士の独占業務とされています。
社内トラブルが発生した際は、
- まず事実関係と証拠を整理(内部対応)
- 再発防止のための就業規則・誓約書・社内マニュアル作成 → 行政書士
- すでに相手方との交渉・紛争が避けられない段階 → 弁護士
という役割分担で考えると分かりやすいでしょう。
※本Q&Aは、一般的な情報提供・コンプライアンス向上を目的としたものであり、個別事案についての法的助言・争訟代理を行うものではありません。具体的な紛争・交渉を伴う案件については、必ず弁護士その他の専門家にご相談ください。


